地方創生×DAOの可能性を感じて参加。社会実装に挑んでいるような面白さ
塩尻で新たに始まる自律分散型オンラインコミュニティ(DAO)の立ち上げプロジェクトに、ファイナンスやITの知見を活かしてアドバイザー的な役割で参加してくださっている井上格太さん(通称:かくたさん)。
塩尻CxO Labに第1期から第4期まで継続して参加し、運営のサポートも行っています。かくたさんが地域での活動を続ける理由、「関係人口」として継続的に関わる塩尻にDAOがもたらす可能性についてお話を伺いました。
【プロフィール】
いのうえ・かくた
埼玉県大宮市出身。商社系IT企業にてエンジニアとして、金融系システム開発、事業開発、海外スタートアップとの協業に従事し、現在はスタートアップのコミュニティスペースでスタートアップと大手企業の協業プロジェクト支援や、事業開発を担当。一方、個人として、地域の未来や、関係人口としての地域への関わり方に興味を持ち、複数の地域プロジェクトを実践中。ライフワークは、ランニング、登山、バックカントリースキー。
新しい挑戦がつぎつぎに起こるまち塩尻。「行き着く先がどうなるのかを、見てみたい」
ーーかくたさんが塩尻と関わることになったきっかけについて教えてください。
妻の実家が塩尻にあり、そのご縁もあって塩尻へはよく足を運んでいました。2019年に、たまたま知り合った方に塩尻CxO Lab第1期立ち上げの話を聞き、「面白そうだ」と感じて参加しました。
当時は「関係人口」という言葉はまだ一般的ではなかったのですが、ただ地域を訪れるだけでなく、地域のプロジェクトに関わることで”恩返しをしたい”という気持ちがありました。僕はアウトドアが好きなんですが、スキーなどで度々訪れている地域が衰退していく姿を見て、「残念がっているだけで自分が何もしないのは何か嫌だ。これまでお世話になってきた場所のために少しでもできることをしたい」と感じていたんです。
ーー塩尻CxO Labには4期連続で参加されているそうですね。どんな活動をされたのか、教えてください。
メインの活動は、「仕様書」の作成です。塩尻CxOLabでは、地域のプレーヤーと副業/プロボノ人材が協働で地域課題を解決するプロジェクトを立ち上げます。その最初のステップとして、地域プレーヤーが抱える課題を塩尻CxO Labメンバーと一緒に議論し、解決するための方向性を示す「仕様書」をまとめていきます。
最初は1メンバーとして参加していたのですが、3期目からはチームをまとめるファシリテーターの役割を受け持つこととなり、4期目には、気が付いたら運営メンバーの一員に組み込まれていました(笑)
ーー関わり続けようと思える塩尻の魅力って何なんでしょう?
塩尻は面白い場所で、次から次に新しい挑戦が、同時多発的に起こっているように見えます。この行き着く先がどのようになるのかは、見てみたいな、と思い、なんだかんだ関わり続けてますね。
もう一つは、さまざまな活動をしている多様な人との出会いを通じて、自分も挑戦してみようというエネルギーがもらえることです。仕事だけでなく、プライベートでもいろいろ挑戦してみたいと思い、去年はアフリカ最高峰のキリマンジャロ山に登頂しました。
地方創生×DAOの可能性
ーー塩尻DAOに参加しようと思った理由はなんですか?
塩尻CxOLabの第4期で、「NFTを活用した自律分散型コミュニティの創出」というプロジェクトが立ち上がると聞き、自分がこれまで関わっていたブロックチェーンなどのWeb3の知見を活かして役に立てるのではないかと思い参加しました。
ブロックチェーンの技術に興味を持ったのは2016年ごろからで、仕事でもその分野について携わる機会がありました。2018年ぐらいに地方創生×ブロックチェーンというイベントに参加して、DAOやトークンエコノミーの可能性を感じました。
2021年にNFTが大きな注目を集めるようになったころ、山古志村のNFTプロジェクトが始まったと知り、2023年には、NishikigoiNFTホルダーになり、ネオ山古志村の「デジタル村民」になりました。現在は、山古志DAOのメンバーの一人として関わり始めています。
▼山古志DAOについて:
▼山古志村を訪れたときのことを綴ったかくたさんのnote:
ーー地方創生×web3の新たな実験の場となる塩尻DAOですが、この取組みが塩尻にもたらす可能性はどんなものだと思いますか?
難しい質問ですね(苦笑)
ここ2年ぐらいで様々な地域がweb3プロジェクトにチャレンジしているなかで、塩尻と他の地域とが繋がれる可能性があるんじゃないかなと感じています。
また、塩尻には既に、シビック・イノベーション拠点「スナバ」や、滞在型交流拠点en.to、KADOなど、メンバー同士がフラットに繋がって自主的に事業やプロジェクトが推進されていくようなDAO的な取り組みをしているコミュニティが多数存在していると思います。そこにテクノロジーが加わることによって、現在起きていることがより滑らかに推進されていく可能性を感じます。塩尻DAOでそこを示すことができて、他のプロジェクトにも必要に応じて波及するとよいのではないかな?と思ってます。
未経験の分野にも試行錯誤しながら挑戦
ーープロジェクトではどんな役割を担っていますか?その中で感じる難しさや、やりがいなどを聞かせてください
正直、法律やファイナンスの専門家ではないんですが・・・、DAOの利用規約、プライバシーポリシー策定などから、DAO全体の設計などを担当しています。自分自身も経験が無い部分が多くありますが、そこは試行錯誤しながら進めています。
コアメンバーの定例会議にも出席し、地域側の事情もくみとりながら、技術チームとの橋渡し、その他課題の洗い出しなども行っていますね。
なんでもやってます(笑)
難しいと感じることは、頭では理解していたことが、実際にフローとして設計する段になると壁にぶち当たることが多くあるところですね。まさに、社会実装に挑んでいる感覚があります。同時にここが面白いところでもありますね。
ーー今後新たに挑戦していきたいことはありますか?
今後は・・・関係人口創出事業の1つとしての塩尻DAOのスタートですが、DAOとしての独立した組織体にすることに挑戦できたら面白いと考えています。
それと、やっぱりスポーツやアウトドアとからめたプロジェクトを塩尻DAOで組成して、地域に貢献したいという想いはありますね。塩尻CxOLabの3期で関わったランニングなどのプロジェクトの再起動とか出来たら嬉しいですね!
▼塩尻CxO Lab第3期で取り組んだスポーツイベント企画のプロジェクト
(取材・構成/片山 憲)
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