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45歳で「塩尻CxOLab」に参加。勇気をもらえ、登山仲間もできました。

「塩尻CxOLab」は、市内の企業や団体とともに地域課題を解決する6カ月間のオンラインコミュニティ。その第1期と第2期に参加したのが、株式会社FINOLABに勤める井上格太さんです。
CxOLabで地域のプロジェクトに関わることで、何を得たのでしょうか。「のりしおな人」第3回は、そんな井上さんの体験談をじっくりお伺いしました。(取材日:2022年1月18日)

【プロフィール】
いのうえ・かくた
1975年生まれ。埼玉県大宮市出身。商社系IT企業にてエンジニアとして、金融系システム開発、事業開発、海外スタートアップとの協業に従事。2016年に(株)電通国際情報サービスに転職。現在は(株)FINOLABで、スタートアップのコミュニティスペースでスタートアップと大手企業の協業プロジェクト支援や、事業開発を担当。一方、個人として、地域の未来、関係人口としての地域への関わり方に興味を持ち、コロナ禍の中、オンラインも活用し複数のプロジェクトを実践中。ライフワークは、ランニング、登山、バックカントリースキー。
塩尻に関して書いたnoteのURLは:https://note.com/_kakuta_/ 

「こんな面白い同世代がいるのか」と嬉しくなった

ーー「塩尻CxoLab」に参加された経緯を教えていただけますか?

そもそものきっかけは、塩尻市役所の山田崇さんに、勤務先のインタビュー企画にご登場いただいたことです。

僕はそのプロジェクトのメンバーではなかったのですが、妻の実家が塩尻で、よく足を運んでいたので、参加してみたら、と誘われたんです。話を聞いてみたら、「馴染みの塩尻に、こんなにとがった面白い人がいたのか」と衝撃を受けました。

山田さんも僕も40代半ばなのですが、この世代になると、管理職になってしまい、面白い仕事を最前線でバリバリしている人が少ない印象を持っています。

また、我々就職氷河期世代は終わった世代のようにメディアで語られていることもあります。しかし、山田さんはパワフルに活動していて、まったく年齢を感じさせない。そんな方と出会えて、純粋に嬉しかったんですね。

もっと山田さんのお話を聞きたいと思い、フェイスブックでメッセージを送ったところ、塩尻のオンラインイベントに誘われました。
その場で「塩尻CxOLab」が発足することを聞き、「ハードルがそれほど高くないし、面白そうだ」と申し込んだわけです。

CxOLabに申し込んだ理由は、地域のプロジェクトに関わることで恩返しをしたいという思いもありました。

僕はスキーが趣味なのですが、スキー場が経営不振で閉鎖するのを見て、「残念がっているだけで自分が何もしないのは何か嫌だ。これまでお世話になってきた場所の衰退を止めるために、少しでもできることをしたい」と思っていました。

CxOLabに入ることで、何かできることが見つかるのではないか、と考えたのです。

テレワーク施設にアーティストレジデンス。地域課題解決プロジェクトに参加

ーー「塩尻CxOLab」ではどんな活動をされたのか、教えてください。

メインの活動は、「地域課題を解決するプロジェクトの仕様書の作成」です。

CxOLabでは、地域課題を持つテーマオーナーが、副業人材を活用して、地域課題を解決するプロジェクトを立ち上げます。
参加メンバーは複数あるテーマのなかから、自分の興味のあるものを選んで、エントリーします。

そして、テーマオーナーや他のメンバーと一緒に、そのプロジェクトの内容について議論し、改めてプロジェクトの仕様書をまとめるという流れです。期間は1カ月程度ですね。

▼「地域課題を解決するプロジェクトの仕様書の作成」詳細はこちら:

ーー2020年の第1期ではどのテーマを選んだのですか?

JR東日本長野支社がテーマオーナーを務める「あずさ沿線のテレワーク施設をハブとした関係人口創出プロジェクト」にエントリーしました。

特急あずさが走る中央本線沿線には、「富士見森のオフィス」やシビック・イノベーション拠点「スナバ」などのテレワーク施設がありますが、地元以外に住んでいる関係人口の利用者はまだ多くありません。そこで、テレワーク施設の利用をきっかけに、関係人口として地域に関わってもらう人を増やそうというわけです。

シビック・イノベーション拠点「スナバ」

メンバーは、テーマオーナーを含めた5人のメンバーで、週1回~隔週1回ペースでオンラインミーティングをおこなって、仕様書を作成しました。
1回だけ塩尻方面に出向いて、テレワーク施設を見学し、メンバー3人で合宿施設に素泊まりする、なんてこともしました。

仕様書を作成し、2人の副業人材が決まった後も、打ち合わせに参加したり、オンラインイベントのサポートをしたりしていました。

ーー2021年の第2期ではどのテーマを選んだのですか?

「持続可能なアーティストインレジデンス事業の構築」というテーマを選びました。

アーティストインレジデンスとは、アーティストが地域に滞在しながら制作活動やリサーチ活動をおこなってアートを生み出すことで、すでに2020年から事業がスタートしていました。その事業をさらに推進するためのプロジェクトをおこなうのが、その趣旨です。こちらも、5人で協力しながら、仕様書を作成しました。

オンラインでの「仕様書」作成の様子

「地域のプロジェクトとは何か」が肌感でつかめた

ーー塩尻CxoLabに参加して良かったことはありましたか。

ひとつは、「地域のプロジェクトに関わるとはどういうことか」が肌感としてつかめたことです。

普段の仕事ではプロジェクトをスピード感を持ってゴリゴリ進めていくことを求められるのですが、地域のプロジェクトは同じ方法論では上手くいかないと気づきました。
誰か一人がグイグイ引っ張るというよりも、集まったメンバーたちの空気感やペースに合わせて仕事を進めていくことが必要だ、と感じましたね。

いま、CxOLabとは別の団体でも、複数の地域プロジェクトにかかわっているのですが、複数メンバーとの活動の進め方に関しては、CxOLabでの経験が大いに役立っています。

オンラインコミュニティをきっかけにランチや山登りも

あとは、人との出会いも大きかったですね。

CxOLabに入ったことで、山田さんの他にも、さまざまな活動をしている同世代の方たちと出会うことができました。そういう方たちの姿を見ることで、「何歳だろうが、行動している人は行動しているんだよな」と勇気をもらいましたね。

なかでも親しくなったのは、第1期のテーマオーナーだった西宮竜也さん。
年齢がまったく同じで、最初のオンラインミーティングの直後に、東京の職場の近くでリアルにランチをしてから、たまに飲むようになりました。
その年末には白馬のスキー場のホテルでお互いの家族を交えて夕食をご一緒しましたし、昨年の秋には二人で塩尻の霧訪山に登りました。

西宮さんと霧訪山山頂にて

その他にも、CxOLabをきっかけに何人かの方と親しくなり、チャットでやり取りしたり、飲みに行ったりしています。

ーーオンラインコミュニティも、そんなにつながりができるんですね。

本来の僕は、積極的にいろいろな人とつながるタイプではないんですよ。西宮さんにしても最初は西宮さんから声をかけていただきましたし。

ただ、同じプロジェクトに参加している同じ思いを持った方と、細く長くつながるのはいいな、と思い始めています。
皆さん、本業が忙しいので、リアルに会うのは年数回程度ですが、この歳になるとこれぐらいの距離感がちょうどいいなと感じますね。

CxOLabは期間が6カ月と限られていますが、これも良い仕組みだと感じました。同じメンバー構成で長く続けると仲良くなりやすいですが、変化が少なくなり、活性化しなくなります。2期でも新しい人がたくさん入ってきたので、出会いが増えましたし、議論も活発化しました。

ゼロからのワインづくりにチャレンジ

ーー今後はどのように塩尻と関わる予定ですか?

今年から始まる「コミュニティヴィンヤード」に参加しました。

何もない状態からワイン用のブドウ畑をつくり、収穫したブドウからワインをつくろうというプロジェクトで、クラウドファンディングで募集していたので、申し込みました。

こういう「器」となるプロジェクトがたくさんあるのも、塩尻の良さだと思います。

ちなみに、個人的に大好きな塩尻を宣伝したくて、noteで塩尻のトレイル&ランニングロードの紹介をしています。こういう発信で少しでも貢献できればいいですね。

ーーこれから塩尻にかかわってみたいと考えている方にメッセージをいただけますか。

登山やランニング、ワインなど、塩尻の魅力はいくつもあるので、1回、だまされたと思って体験してみてほしいですね。
きっと興味が持てるものが見つかるはずです。まずは僕のnoteを見ていただくのも良いと思います(笑)。

(取材・構成/杉山直隆)

CxOLabの他にも、塩尻には市内だけでなく市外の皆様にも関わっていただけるような、さまざまなプロジェクトがあります。
「のりしお」で最新情報をアップしていきますので、ぜひチェックしてください!

▼のりしおな人 第1回:

▼のりしおな人 第2回:


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