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仲間がいればそこが居場所になる。塩尻DAOは「ありがとう」を言いあえる友達づくりの場

4年前に塩尻に移住し、フリーランスとして働きながら、市民活動団体の副代表を務めるなど、まちづくりや社会活動にも積極的に取り組む湯浅亜木さん。(通称:あきちゃん)

塩尻での活動についてや、これから取り組んでいきたいこと、塩尻住民として塩尻DAOへ期待することなどについてお聞きしました。

【プロフィール】
ゆあさ・あき
カサネル合同会社/想いを形にする代行屋
東京都出身。商業施設デベロッパーで商業施設開発・運営を経験後、長野県塩尻市に移住。地域産品の商品化プロジェクトのマネジメントやイベント運営、事業等のサポートを行う。自分らしく子育てしやすいまちづくりを目指す塩尻市の市民活動団体”ソトイク・プロジェクト”副代表。同団体のPodcast”ソトイク・ラヂオ”の他、地域を楽しく語る"LOCAL NIGHT NIPPON"、YOUTUBEチャンネル「ゆあさけチャンネル@ナガノ」にて移住者視点での長野ライフや子育てのリアルを発信している。

人とのつながりが移住を後押し

ーーー 4年前に塩尻に移住されたということですが、塩尻に移住を決めた理由を教えてください。

今の主人と出会った当初、彼が塩尻市・贄川のシェアハウス坂勘で二拠点生活をしていました。そこを訪れるようになったのが塩尻と関わるようになったきっかけでした。月一度くらい東京から塩尻に遊びに来て坂勘に泊まり、シェアメイトと仲良くなって、スナバにも行って色々な人と知り合って、お家に招待されて飲んだり、一緒に蕎麦を食べにいったり温泉にいったり・・・とどんどんコミュニティが広がっていきました。

当時は東京で会社員として働いていましたが、ちょうど会社を辞めてフリーランスとしてやっていこうと思っていた時期に結婚が決まりました。結婚してどこに住もうかと考えたとき、東京は家賃も高いし、夫婦ともども自営業でどこに住んでも良い状況だったので、「それなら、仲間もいて居心地良い塩尻に住もう」となり移住を決めました。

▼あきちゃんの移住までの道のりを綴ったnote記事:

すごく移住したかった、すごく塩尻に住みたかったというわけではなく、一言でいうと、お友達ができたから移住しちゃった感じです(笑)他の地域と比較したり、移住情報を調べたりも一切しませんでしたね。人とのつながりができていて、自分の居場所があるという感覚が得られていたことが大きかったと思います。

住みたい地域を自分たちでつくりたい

ーーー「ソトイク・プロジェクト」という育児者の活動の場を広げるプロジェクトを運営したり、都市計画マスタープランの策定委員を務めるなど、社会活動を積極的に行っているあきちゃんですが、もともとまちづくりや社会貢献に興味があったんですか?

移住した当初は、まちづくりに関わりたい気持ちは特にありませんでした。子供ができて行政と一市民として関わることが増えたことがきっかけで、自治とか、地域をよくしていくことに関心が向いていきました。

同じタイミングで北小野に引っ越したこともきっかけとなりました。北小野はより小さな集落で、地区でのコミュニティがより盛んな地域です。そこで暮らすなかで、行政に頼るのではなく、自分たちが住みたい地域は自分たちでつくりたいと思うようになったんです。

北小野の御柱祭:移住者にも寛容で仲良くしてくれるのが嬉しい

「ソトイク・プロジェクト」も、行政に提供されるサービスに頼るのではなく、自分たちにとって“子育てしやすいまち”を自分たちでつくっていきたい、という想いから始まった活動です。代表のゴレイコさん自身が東京で子育てをするなかで感じた孤独感、”育児がまちに開かれていない”と感じた体験が「ソトイク・プロジェクト」の始まりです。

“自分らしく子育てしやすいまちづくり”を目指す「ソトイク・プロジェクト」

ーーー「ソトイク・プロジェクト」の活動について教えてください。

定期的にやっている活動に、「スタバお茶会」があります。
子育て中の育児者が集まってスターバックス塩尻店さんでお茶会をする、というものなんですが、毎回たくさんの方が集まってくれます。

スタバお茶会の様子(写真提供:ソトイク・プロジェクト)

子育てサークルも昔はたくさんあったそうですが、コロナ禍でほとんどが活動休止になってしまい、育児をする人たちが気軽に集まれる場が減っているそうです。行政が提供している子育て支援センターなど、子供のための遊び場のような場所はあるんですが、そこでは大人が楽しめないんですよね(笑)

“自分らしく子育てしやすいまちづくり"が「ソトイク・プロジェクト」のテーマです。育児をしている人が、その人が好きなことや趣味、仕事、人間関係を大切にしながら、子育てもしているという状況にしていきたいです。子育て支援センターに行っても、パステルカラーの内装やおもちゃ、子供のための絵本に囲まれたそこは大人にとって必ずしも居心地の良い場所ではないんですよね。まずは大人が居心地よい場所、そこに子供もいて楽しめるそんな場所を求めている人は多いと思います。

大人が楽しめる美味しい飲み物や素敵な雰囲気があるスタバで、勉強会やセミナーではなく、ただ飲み物を買っておしゃべりをするだけの参加ハードルの低いイベントなので、気軽に参加してくれる人が増えています。

ーーー「ソトイク・プロジェクト」の今後の展開は?

私が最近はじめたのは、Podcast番組の『ソトイク・ラヂオ』です。「ソトイク・プロジェクト」の活動の中心はどうしても塩尻界隈の方向けの活動になるので、もっと遠くの人にも届けたいという想いからラジオを始めました。

プロジェクトメンバーとソトイク・ラヂオの収録(写真提供:ソトイク・プロジェクト)

やはり、育児者が自分らしくいられることにはまだ色々なハードルがあると思います。それが無い状態をつくりたいというのが大きな目標です。それに対して何をするか、例えば拠点をつくるのか、活動を一本化して何かの事業を始めるのか・・・今はチーム内で模索している状態です。

▼「ソトイク・プロジェクト」メンバーのインタビュー記事:

ーーー「ソトイク・プロジェクト」以外にも、塩尻でこれからやっていきたいことはありますか?

「ソトイク・プロジェクト」に関わらず、今後も、自分の住む地域を自分でつくる、自分で守っていくという活動をやっていきたいと思っています。

例えば、北小野に昔からあったスナックが最近閉店してしまったんですが、そういう人が集まる場所が地域から消えていくのが寂しいなと感じていて。子供が小学生になったときに、児童館だけでなく多世代が交流しているような場所、大人が仕事をしていて、子供が学校から帰ってきてそこで宿題して、夕方からは大人が飲んでいるというような、色んな人にとって居場所となるような場所ができるといいなと思います。

バッターボックスに立ちやすい、ちょうどよい規模感のまち塩尻

ーーー都会ではなく塩尻で活動するからこその面白さってどんなものだと思いますか?

地方だと、「バッターボックスに立ちやすい」、つまり、中心人物になりやすいというのがあると思います。「ソトイク・プロジェクト」でも、この規模感の自治体で活動しているから注目してもらいやすいと言えると思います。イベントを開催したら市長が来てくれたり、スターバックスさんや長野銀行さんから「一緒にやりませんか?」と声をかけてもらえるなんて、都会じゃ考えられないですよね。

昨年11月に開催したソトイク祭:地元の事業者様からの協賛もいただき実現した

逆に、もっと過疎化が深刻で、子供が全部合わせて数人しかいないというよなまちの規模感だと、トライとして成立しなくなるかもしれませんね。塩尻は、トライしやすくインパクトも出しやすいちょうどよい規模感の街だと思います。

塩尻DAOは「ありがとう」を言いあえる居心地よい居場所

ーーーなぜ塩尻DAOに参加しようと思ったんでしょうか?期待していることはありますか?

塩尻DAOの、自分たちが居心地よく感じる場所を自分たちで創ろうという思想に共感しました。

塩尻にもスナバなどのコミュニティが既にありますが、塩尻DAOは地域外からの人が入ってくる点が魅力だと思います。外の人が入ってきてくれることで違う視点が得られるし、自分が住んでいない地域に、時間やお金をかけて関わり、一生懸命考えてくれているという気持ちが単純にとてもありがたいですね。

塩尻DAOは、目線が一緒の仲間たちが集まって、何か地域の役に立つ活動をする友達作りの場と言えるかもしれませんね。自分自身を活かしたい、ただ遊ぶだけではなく何かの役に立ちたい、ありがとうと言われたい、という欲求って誰にでもあると思うんです。塩尻DAOのようなコミュニティに身を置いて、お互いにありがとうと言いあえる関係性の友達が増えていくのって素敵ですよね。

私自身、友達ができたから塩尻に移住したように、つながりがあればそこが居場所になると思うんです。塩尻に住んでいないメンバーの方にとっても、塩尻が居心地よい居場所になったらうれしいな、と思います。そうなることで、塩尻の魅力も上がっていくと思います。

個性的なNPO法人MEGURUメンバー:仕事の関わりだけでなくプライベートでも仲良し

ーーー塩尻DAOでやってみたいことはありますか?

DAOは、何か一緒にやる仲間、手伝ってもらえる関係性が作れる場所だと思いますが、具体的な社会課題に対してこう動こうという話にいきなり入るのではなく、まずはお互いのことを知りたいですね。

特に「ソトイク・プロジェクト」のような市民活動は、いわゆるビジネスの世界のスキルマッチングの要素ではない部分が大事になってきますよね。互いの価値観とか、気心が知れたうえで、仕事や事業活動など次のフェーズに進んでいくものだと思います。

本当は日ごろ会って話せればいいけれど、それが物理的に難しいので、仕事とか課題解決に至る一歩手前の、サークル活動とか山登りとかゲームとか・・・部活動的なものをまずはみなさんと一緒にやってみたいです。そこで一緒に飲んだり、遊んだりしているうちに、こんなことやりたいとか、私たちに見えていないような地域の課題感もみえてくるかもしれない。

何気ない話をしているうちに盛り上がって、じゃあこれやろう!となる、そんなところから始まるものじゃないかと思います。例えば、私は自分自身の活動としてアート鑑賞講座を企画しているのですが、そういった機会に参加してもらって一緒にアートを楽しんだりできたら楽しそうですね。

(取材・構成/上田直子)

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