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【地域プレイヤーインタビュー】どん底だった保育士が会社を立ち上げ、保育業界をアップデートする

こんにちは、のりしお編集部・上田です。

塩尻市の関係人口オンラインコミュニティ「塩尻CxO Lab」の第3シーズンがいよいよ開幕します。

今回は、2022年の塩尻CxOLabに地域プレーヤーとして参加される降旗 紗希さんをご紹介します。

降旗さんは、公立の保育園に勤務したのち、フリーランスの保育士に転身。ベビーシッターとして仕事をしながら、昨年には「長野の訪問保育キッズハピリエ」を立ち上げました。
ママも子どもも保育士も笑顔でいられる新しい保育のカタチを目指して、多業種との企業提携やイベント託児など事業拡大に取り組んでいます。

インタビューでは、ご自身が拠点とされている塩尻の魅力や、保育を通じて実現したい未来について語っていただきました!


ーーまず始めに、降旗さんが感じる塩尻の魅力をおしえてください。

私は高校が塩尻で、今はシビック・イノベーション拠点「スナバ」の会員として塩尻に関わっているんですが、まずは、スナバってすごいなと思うんです。そして、それを運営している行政の柔軟さがすごいと思います。固定概念に縛られないというか、攻めているというか。

最近でもスナバメンバーが中心になって駅前にワインのコミュニティスペースが立ちあがったりと、スナバを拠点に色んなプロジェクトが生まれていて、ポテンシャルがすごいと思います。

でも、この塩尻の魅力って、来てみて、関わってみないとわからない部分もあると思うんです。この塩尻CxOLabに参加することで、塩尻の面白さや可能性を実感してくださる方が一人でも増えるといいな、と思います。

シビック・イノベーション拠点「スナバ」

ーー「キッズハピリエ」を立ち上げたきっかけについて教えてください。

もともと子どもが好きで、親の勧めもあって保育短大に通い、卒業後は公立保育士として4年間勤務しました。
子どもはとにかく可愛くて、保育士という仕事自体は自分に合っていると思いました。

でも、当時いた職場の現実が、自分が思い描いていた世界とすごくギャップがあったんです。上司や同僚、保護者との人間関係がすごく大変で、書類仕事も多くて、ほぼ毎日残業は当たり前、土日も仕事を持ち帰らない時はないような状況でした。
さらには、一年目に一人で19人の3歳児を受け持つことになって、クラスが全くまわらなくて「クラス崩壊」のようになってしまったんです。職場でも「自分が仕事ができないからだ」と責められているように感じ、毎日泣いて帰るような日々でした。

三年目に児童養護施設に異動になり保育現場から離れてみて、これまでの環境がいかに封建的で、過酷な状況だったかに気が付きました。
またその時期に、はじめて海外へ一人旅に出かけてみたんです。その時に、改めて世界の広さと保育業界の狭さを感じて(笑)もう保育業界は懲り懲りだ、海外に行こう!と思い立って、仕事を辞めてカナダにワーホリにいくことに決めたんです。

ところが、コロナでワーホリにいけないことになって、とりあえず、パン屋のバイトを始めました。
パン屋で働き始めてから、全然保育と関係ない仕事をしていても、子どもに目がいく自分がいて、わずか1週間ぐらいで、私はやっぱり保育がしたいんだ、と思い至りました。

でも保育園に戻る気はなかったので、ベビーシッターのマッチングサイトを見つけて、そこに登録して働いてみることにしました。
「キッズライン」というベビーシッターのプラットフォームに登録して1年間やってみて、すごく楽しくて、これは天職だと思うと同時に、他の保育士さんにもこの楽しさを知ってほしいと思ったんです。

こんなに楽しいのに、しっかり評価もしてもらえて、お金ももらえる。
だんだん、プラットフォームの中でやっていくことが窮屈になってきて、もっと制約の無い状態で、いろんな企業と提携したり、色々なことができるかもしれないと思い始めて。1年後に自分でキッズハピリエを立ち上げました。

保育士である自分が笑顔で心にゆとりをもって働くことで、こんなに子どもが喜んでくれるんだということに気付いて、苦しんで子どもと関わるより、楽しみながら関わっていくことで、周りも自分もハッピーにできると感じたんです。

自分の道を見つけた、という気がしました。

ーー今回塩尻CxOLabに参加して、どんな方々と出会えることを期待していますか?

私は保育の世界しか知らず、ビジネスの世界に飛び込んだばかりなので、経験も知識もスキルも足りないことばかりです。
今まで実践しながら色々なことを実現してきたものの、これからビジネスを続けていく上で、やはりきちんとした土台を築く必要があると思うんです。そこを助けていただきたいと思っています。

具体的には、PRとか、イベントの立ち上げ方とか、企業にベビーシッター事業をつくることを提案する際に、どんなポイントをおさえながら提案を行っていけばいいのかなど・・・一緒に手を動かしてプロジェクトを進めていってくれる人に出会いたいです。

塩尻CxOLabのメンバーの方と一緒に仕様書をつくるのは、ただただ楽しみです。自分と価値観の合う方に来てほしいと思う反面、価値観が全く違う、私にはない視点から意見を言ってくださる方にも来てほしいとも思います。
根本としての想いには共感してくださる方々と、同じ方向に目線を向けて、キッズハピリエをよくしていける方法を一緒に考えていただけたらいいな、と思います。

ーー最後に、意気込みを教えてください。

社会が本当によくなればいいな、と思うんですね。

私の切り口はまず保育士の幸せ、というところからなんですが、それが親の幸せになって、親が幸せでいることが子どもの自己肯定感に繋がって、そんな子どもたちがこれからの社会を担っていくわけで・・・。
子どもに対してのアプローチがよくなれば、将来彼らがつくりあげる社会もどんどんよくなっていくと思うんです。
そこに共感してくださる方が一人でも増えたらいいな、と思います。

私の使命は、保育業界をアップデートすることかな、と思うんです。
保育士って、本当にポテンシャルが高いんです。子どもも見れて、保護者対応もできて、アイデア出しもして制作もして、クラスを運営して・・・
それが保育業界の色んなしがらみの中に閉じ込められているのはもったいないと思います。

フリーランス保育士はまだまだメジャーではありませんが、フリーランスとして働くことは楽しいし、ニーズもあって、ちゃんと稼げるんだよ、ということを社会全体に新しい価値として浸透させていきたいです。
そうすることで、保育業界がアップデートされるといいなと思っています。