「塩尻市・関係人口創出事業」ってなんだ?~地域外のプロフェッショナル人材が副業・リモート・短期で地域課題解決~
こんにちは、「のりしお」編集部です。
人口減少、高齢化、空き家問題・・・地域にはたくさんの課題があり、その課題は年々複雑化しています。
その一方で、
「地域に関わりたい」
「自分のスキルを活かして、顔の見える人を幸せにしたい」
「旅行で地域を訪れるだけではなく、そこに知っている人がいて、その人たちと一緒に何かができればもっといい」
そんな思いを持っている都会に住む方々が増えています。
「塩尻市・関係人口創出事業」は、そんな塩尻の企業・団体と都会の方をつなぐことで、地域・社会課題を解決する取り組みです。具体的には、都会の方々に、塩尻の企業・団体と副業で関わっていただき、課題解決に取り組んでいただきます。
今回は、「塩尻市・関係人口創出事業」の特徴や参加方法について解説します!
「塩尻市・関係人口創出事業」3つの特徴
「塩尻市・関係人口創出事業」には他の地域の副業プロジェクトとは異なる、3つの特徴があります。
1. 課題を顕在化するための「仕様書」を作成
一つ目の特徴は、地域課題を持つ企業、団体など(テーマオーナー)が、課題を顕在化する「仕様書」を作成するところからスタートすることです。
そもそも、外部の方に協力を依頼するといっても、課題当事者は多くの問題を抱えているために「何から手を付けていいのかがわからない」状態となっています。
何をするかが固まっていない状態で副業人材を雇っても、ミスマッチが起きて、十分に力を発揮してもらえなくなります。
この問題を解決するためのツールが「仕様書」です。
「仕様書」とは、テーマオーナーが抱える課題解決の方向性を示した計画書のようなもの。具体的には、「現在、直面している課題」「課題対象の成り立ち」「目指す成果」などを詳細に記載します。
客観的な視点を入れながら整理した仕様書で副業人材を募集することで、ミスマッチを防げるというわけです。
2. 「仕様書」づくりを”関係人口コミュニティ”メンバーがお手伝い
二つ目の特徴は、この「仕様書」の作成をテーマオーナーと『塩尻CxO Lab』という関係人口コミュニティのメンバーが協働で行うことです。
『塩尻CxO Lab』とは、
・塩尻に関わって何かやってみたい。
・地方を盛り上げるために、一歩踏み出して活動してみたい。
・他の企業のプロフェッショナル人材と一緒に仕事をしてみたい。
・長野の自然やワインが大好きで、何か貢献してみたい。
そんな方々が誰でも参加できる、オンラインコミュニティです。
活動期間は、1期につき6カ月間。そのなかで、さまざまな取り組みをおこなっています。
テーマオーナーと『塩尻CxO Lab』メンバーは仕様書作成のワークショップを受講した後、約1カ月かけて一緒に仕様書を作成します。
様々なバックグラウンド、スキルをもつコミュニティメンバーが壁打ち、アドバイスを行うことで、課題が明確化されていきます。
この「仕様書」に基づいて、求人募集要項を作成し、副業で課題解決に関わってくれる人材の募集を行うことになります。
3. 副業・リモート・3カ月で課題解決にチャレンジ
三つ目の特徴は、それぞれの地域課題テーマの解決に、副業・リモート・3カ月の短期で参加できることです。
つまり、今の仕事や活動と並行するかたちで、拠点を移さないまま、地域課題の解決に向けて自身の経験やノウハウを活かすことができます。
「副業を始めたい」「地域に関わりたい」という思いを持ちながらも、「本業の仕事を続けながら時間を捻出できるのか」「はじめてみて上手く行かなかったらどうしよう…?」という不安から、一歩踏み出せない方が多いのではないでしょうか。
その点、リモート、期間限定で関われるこのプロジェクトは、最初の一歩としてチャレンジしやすいものとなっています。
実際に副業で課題解決に関わってくださった方々からは、
「リモートでも特に問題なく取り組めた」
「3カ月は短いと思っていたが、『仕様書』で課題が明確化されていたので、思っていた以上のことができた」
「このプロジェクトで塩尻の人とのつながりができ、これからも継続的に関わっていけるきっかけとなった」
という感想をいただいています。
ワインの販路拡大、滞在型コンテンツ開発・・・さまざまな課題が待っている
第1期、第2期では、それぞれこんなテーマの取組みが行われました。
第1期(2020年8月から2021年1月):
(1) WaiNariを活用した地域資源の可視化による販路拡大プロジェクト
(2)伝統工芸の作り手の存続に向けた、「仕事を自分事化できる」職人人財の育成
(3)あずさ沿線のテレワーク施設をハブとした関係人口創出プロジェクト
(4)「お困りごとtrip」の推進による未来の里山共創プロジェクト
(5)“まちを好きになる”から始まる、まちのプロモーションプロジェクト
第2期(2021年8月から2022年1月):
(1) 持続可能なアーティストインレジデンス事業の構築
(2) 木曽平沢の日々別荘を中心とした滞在型コンテンツ開発
(3) 塩尻市観光センター売店 リバイバルプロジェクト~地域と観光がめぐりあう「塩尻、いいね」が生まれる場~
(4) ごちゃ混ぜ感満載の塩尻の「いま」を可視化!ファンベースな関係人口創出プロジェクト
それぞれのテーマや課題をまとめた「仕様書」および実際のプロジェクトの様子は、日本仕事百貨の募集記事に詳しく掲載されていますので、こちらもぜひ読んでみてください。
▼日本仕事百貨の募集記事(第1期):
▼日本仕事百貨の募集記事(第2期):
「塩尻市・関係人口創出事業」の誕生まで
では、なぜ塩尻でこのようなプロジェクトが生まれたのでしょうか?
塩尻市では、「地域課題を自ら解決できる『人』と『場』の基盤づくり」を市の総合計画に掲げ、他地域に先駆けて、外部の人材を受け入れオープンイノベーションを推進する官民協働事業を展開してきました。「MICHIKARA」や「iXハイクラス副業」、「特任CxO」がその例です。
塩尻は古くから主要街道の結節点として栄え、市内の6つの宿場町を有し、たくさんの人が集い、津々浦々の産品や情報が交わされてきたまちです。
こうした歴史的背景から、”よそ者”歓迎のおおらかな風土、未知へのチャレンジを許容する文化が育まれてきました。
その血が現代にも受け継がれて、まちの内外の人が交流して新しい価値を生むような取組みの推進につながってきたのかもしれません。
2016年:「MICHIKARA 地方創生協働リーダーシッププログラム」開始
2016年1月にスタートした「MICHIKARA」は、首都圏の民間企業の若手人材と塩尻の行政職員が一緒になって、地域の課題解決を目指す官民協働プログラム。子育て支援や空き家対策など、実際に予算がついて動き出すプロジェクトもありました。
このプロジェクトを通じて、仕様書の作成をはじめとした、多様な人材が官民・市内外の垣根を超えて協働・共創するノウハウが蓄積されました。
▼「MICHIKARA」の詳細はこちら:
2019年:地域外のプロフェッショナル人材と塩尻市のシビックイノベーターが協働で地域の課題解決に取り組む「iXハイクラス副業」
パーソルキャリア株式会社(東京都千代田区)と提携し、ハイクラス向け転職サービス「iX(アイエックス)」において、副業限定で特任CMO(Chief Marketing Officer|最高マーケティング責任者)と特任CHRO(Chief Human Resource Officer|最高人事責任者)の2つのポジションを募集したのは2019年11月のこと。
期間は3ヶ月、稼働は月4日以内でフルリモートという募集に、首都圏を中心に103人の応募がありました。
これをきっかけに、首都圏のプロフェッショナル人材を募集して、地域課題の解決につなげる、現在の「塩尻市・関係人口創出事業」の構想ができあがりました。
▼「ixハイクラス副業」の詳細はこちら:
2020年:8名の特任CxOと「塩尻市・関係人口創出事業」の誕生
「iXハイクラス副業」の取組みに強い手応えを感じて、これを機に継続的に地域外人材を受け入れるプラットフォームをつくろうと始まったのが「塩尻市・関係人口創出事業」です。
塩尻市に縁のある6人を加えて、8人の特任CxOを任命するところからスタートし、都市圏のプロフェッショナル人材と共創する、現在の「塩尻市・関係人口創出事業」のかたちが誕生しました。
ちなみに、特任CxOとは、塩尻市からそれぞれ特命を受けた8名の首都圏プロフェッショナル人材の総称となります。(「x(エックス)」には役職に応じたアルファベットが入ります。 例:特任CMO=chief marketing officer)
▼特任CxOの詳細はこちら:
まとめ
さまざまな人が関わり、地域課題の顕在化から解決まで伴走する「塩尻市・関係人口創出事業」は、全体像を理解するのがなかなか難しい、という声もきかれます。
今回は、できるだけわかりやすく説明できるよう、頑張ってみました!
「塩尻市・関係人口創出事業」への参加方法はふたつ。
①『塩尻CxO Lab』のメンバーとなり、「仕様書」作成に参加する。
②副業の求人に応募し、3カ月の課題解決に伴走する。
※求人募集開始!
募集の詳細については、noteやTwitterを通じてまたアナウンスさせていただきますので、ぜひチェックしてみてください!