塩尻CxO Lab現地フィールドワークvol.4~大門エリア~ 都会から塩尻に人が集まる!?〜塩尻生まれ塩尻育ちのちいによる怪奇現象の解明潜入調査〜
こんにちは、のりしお編集部です。
お待たせしました!2022年10月1日~2日に行われた関係人口コミュニティ「塩尻CxO Lab」の現地フィールドワーク第四弾のレポートです!
フィールドワークでは、「現地を訪れ、そこで活躍する地域プレーヤーと接することで地域の魅力や課題(=関わりしろ)を発見する」ことを目的に、伝統工芸・市内中心エリア活性化・空き家利活用・農業の4つのテーマを設け、数名のグループに分かれて市内各地を訪れました。
今回は、塩尻生まれ塩尻育ちの助っ人ライターちいが、市内中心エリア・大門のフィールドワークに潜入して塩尻CxO Labメンバーと過ごした一日の体験をレポートしてくれました!
なんの変哲もない田舎に、都会から人が集まる
ここ、長野県塩尻市は、長野県の中心近くに位置し、みなさんの想像するいわゆる“田舎”の姿そのままのなんの変哲もない田舎である。
しいて言うと、中途半端に発達した部分を持った、「街かとおもったらちょっと車で走っただけでド田舎やないかい。」という感じの場所でもある。
地元の人たちは口を揃えて「何もない」というし、学生や若者にとっては「早く出たい田舎」でもあると思う。ちいも例に漏れず、早くここを飛び出していきたいと強くおもっていた。
そんな塩尻市に最近、人が集まっている。しかも我らの憧れる都会から。
一体どういうことなのか調査するために、今回は塩尻市の「塩尻CxO Lab」というプロジェクトに潜入してみることに、、!
塩尻CxOLabとは?
「塩尻CxOLab」とは、塩尻という地域にいるプレイヤーと、塩尻以外の場所から募集した、塩尻に興味がある・塩尻で何かしたい・地域と関わりたい人たちとの協働を作り、『塩尻の地域課題の解決や魅力の再発見を行う超実践型オンラインコミュニティ』らしい。
まず、「塩尻に興味がある人」や「塩尻で何かしたい人」という名目で募集をかけて人が集まるのか、さらにその集まった人たちが「塩尻の地域課題の解決」のために考えてくれたり、「塩尻の魅力を再発見」する助けをしてくれるなんて、何が起こったらそんなことが可能なのかじぶんでは全く想像がつかない。そんな虫のいい話あるの、、?とどちらかというと思ってしまう。
しかし、なんと発足した2020年以来50名を超えるメンバーが参加しているらしい!!!
どういうことなんだ!?なんで!?
こんな何もない田舎にみんなどんな興味があるんだろう、、、。きっと相当変な人たちが集まっているに違いない。そんなことを思いながら、CxO Labのメンバーが実際に塩尻に来て、まちを歩いたりまちの人に会ったりする日があるというので、その日に突撃潜入してその実態を調査することにした。
集合場所のスナバへ
プロジェクトメンバーの集合場所である、塩尻市にあるコミュニティ/コワーキングスペース「スナバ」にしれっと一緒に集合し、潜入に成功すると、まずはそれぞれの普段の仕事や今日の意気込みなど、自己紹介を兼ねたチェックインが始まった。さっそく参加メンバーがどんな人で、何を考えているか知るチャンス、、!
話を聞いていると、みなさんはここにくるのをとても“楽しみ”にしていたみたいだった。全国いろんなところから集まっていて、もともと塩尻に親戚が住んでおり小さい頃によく訪れていた方や、以前仕事でたまたまきたことがある、と言う方もいたけれど、「塩尻と言う地域を知りたい」「このプロジェクトを通して、何か新しいものを生み出したい」という声が聞かれた。
また、「初めて会う人たちと何か生み出したい」なんていう方もいて、なんだかよくわからないけれどすごく気持ちを持って、そして今日塩尻を楽しみに、集まっているみたいだった。
チームに分かれフィールドワーク
全体チェックインの後には、それぞれ塩尻の「大門チーム」「奈良井チーム」に分かれて地域へ見学に行くようだったので、ちいは大門チームのあとをついていくことに。
大門はスナバがある場所でもあるので、まちに出る前に、大門という場所で実際に活動をしている「ひろさん」と「エリーさん」のお話をスナバで聞いてからいくことになった。
ひろさんは、今は空き店舗も多くなった大門にある商店街、「大門商店街」のなかに、自身の事業である表札・看板のお店「家印」の事務所を持っている。
もともと洋装店だった場所で、当時の店名は「ミミー洋装店」。看板も当時のままミミー洋装店として残っている。
その場所を、「ミミー商店」と呼び、ただ事務所として一人で使うのではなく、事務所スペース以外の場所を“イベントシェアスペース”として解放していて、週末にはさまざまな出店者とお客さんで賑わう場所を大門商店街に作り上げた。
これは大門商店街を通学路で使っていたちいにとって、紛れもなくとんでもないことであって、今でも時々その存在が信じられないほどである。
大門商店街に人で賑わう場所がある、、、言葉で言うと少し違和感を感じるくらいだ。
そんな場所を、ひろさんは大門商店街に作った人なのだ。
続いてはエリーさん。
エリーさんはスナバの運営スタッフをしていて、お父さんの飲食店が大門にある。そのため、全く馴染みのない場所ではないけれど、特に思い入れの強い場所でもなかった。それがスナバとの関わりを持って自身の活動の拠点に変わり、なんと大門で大きなマルシェイベントを主催するまでに。その名も「大門マルシェ」。(シンプル)
地元の作家さんや飲食店さんを中心に、たくさんの方が出店し、毎回大賑わいである。これもまた、「大門でマルシェ!?!!」と叫びそうなほどちいにとっては想像できなかった展開であり、そしてそこにたくさんの人が集まっているというのは大きな驚きと、同じくらいの大きな希望を感じられる本当にありがたいイベントなのだ。
2人ともこの大門という地で、大門というまちを生かして活動している。
そんな2人の活動拠点である大門へ繰り出して行ってみることに。
ウィングロードという大門にある商業施設の空き広場で、大門マルシェが行われるまでは本当にただただ空いている場所だった。ちいが小さいころからずーっとである。
それが、ここにたくさんの出店者さんがテントやキッチンカーを並べ、地元の人で賑わい、笑顔が行き交う場所になった。
この場所だけでなく、塩尻駅前やひろさんのミミー商店、高ボッチ高原FMさんの駐車場など大門内で会場はどんどん広がり、毎度その時に合わせて様々な規模感で開催している。
何もなかった場所がイベント会場になり、そしてそこに人が集まるということ。それも外からだけではなく、塩尻の中から人が集まってくる。
これがどんなにすごいことなのか、どう伝えれば良いのかわからないけれど、地元っ子のちいには感動してしまうほどのできごとなのだ。
空き家を再生するプロジェクト始動?
ひろさんのミミー商店を見に行く前に、同じ大門商店街の中にあり、今まさに大門で動いているプロジェクトである元老舗のお土産屋さん「ハリカ」に寄り道。
その昔、誰かのお家に遊びに行くときや、お祝いごとのときに「贈答品」を買って持っていくことがとても自然に行われていた時代があって、そのころとてもとても重宝されていたお店らしい。ちいの記憶上では多分ずっと閉まっている。
今は大きな空き家物件になっている。
一体ここが今後どんな場所になっていくのか、今はまだ誰にもわからないけれど、「もし本当にここがこうなったらとんでもないことになるぞ、、、」と思わせる設計図はある。
大門商店街に何が起こっているのだろう、、。
これからどんな場所になっていくのだろう。
そんなことを考えた探検だった。
続いてはひろさんのミミー商店。
ミミーに入ってすぐの、開けた土間スペース。
ここにたくさんの人が出店し、イベントスペースとして使われてきた。
ミミーでの出店は、「ずっとやってみたかったことをやってみる機会」になっており、趣味でやってきたことやずっと好きだったものを初めてここで販売する、という人を何人も見てきた。
自分の作ったものや集めたものを人に販売する。「出店」なんていうと、すごくハードルが高く感じるけれど、場所と空間を作ってそのハードルを最大限に下げた状態で、「やってみよう!」と言ってくれるひろさんの柔らかくあたたかい人柄が、誰かの大きな一歩を作り出しているのだ。
今後はこのたくさんの人の挑戦が生まれたスペースを、ひろさん本人がさまざまなところからじっくり集めてきた品を置いて、店舗にするようで。
これがまた、だれもが確信して素敵な場所になるだろうと想像できる雰囲気になっていた。
ランチタイムは縁側で
ここでちょうどお昼の時間。
ミミー商店の奥のスペースで、エリーさんのお父さんのお店、Tom's Cafeさんのお弁当をいただく。
お昼を食べた後は、そのまままったり。お茶を飲みながらゆっくりお話しタイムに入った。
話題は、「塩尻市について」。
それぞれが心地の良い場所に座り、自然と塩尻市のことを中心に話が広がっていく。今日の一日やこれまで知った塩尻の情報を通して、感じたことや考えたことをみなさんがシェアしているようだった。
さまざまな観点から、なんとなく今のままでは塩尻市が「もったいない」というような話が多かったように思う。こんなにいい場所なのに、こんなにいいところがあるのに、どうしたらそこをもっと生かしていけるだろうか、と。
真剣にそんな話をしているのを聞いてしまっては、ここで生まれ育ったちいは「どうしてそんなことを考えてくれるのだろう」と思わずにはいられなかったけれど、なんだかもうそんなことは愚問のようにも感じた。
ここにいる人たちの心が、塩尻に向かって動いていて、なんとなくだけどそれを少し"おもしろい"と思ってくれているような感じ。うまく言えないけれど、なんで?よりも、この人たちと何かできたら、もっと塩尻がおもしろくなるかもしれないというわくわくの方が大きかった。
雑談を交えながら、塩尻の今後について深く話したあと、奈良井チームとの合流の時間がせまってきたため、スナバにもどることに。
フィールドワークの感想シェア
さまざまな視点からの意見。でもどの言葉も、とても”他人事”には聞こえなかった。それぞれがみんな塩尻を”自分ごと”としてとらえていて、「これから塩尻をどうしていいったらいいか」や「この先どうなって行くのかこれからも見守りたい」という言葉、さらには「もっと深く関わって自分も参加したい!!」というような意見もあった。
さいごに
一日潜入した結果、わかったことはなんだろうか。
塩尻に興味があって、そこにどんな課題があるのか、それを解決するにはどうしたらいいのか、また、塩尻という地域はどんな場所で、どんな魅力があるのかを考えるプログラム。そこに集まったたくさんの人たち。
一日をかけて、ちい自身いろいろなことを考えたけれど、やっぱりわざわざ塩尻に興味を持って訪れる人たちの気持ちは全部はわからなかった。正直、そんなふうに都会やさまざまな地域から人が集まっているなんて、ちいからしたらほぼ怪奇現象みたいなものだ。
だけど、ひとつ。
塩尻に対して思ったことがあった。
それは、「塩尻ってもしかしてそんなに悪くないんじゃないか、、?」ということ。
だってこんなにたくさんの人が、それもいろんな場所で活躍している人たちが集まって、塩尻について考えてくれたり、塩尻を良いと言ってくれている。「勉強になった」なんて言っていた人もいた。
誰かにとっての日常は、誰かにとっては非日常で、その価値は一人では決められないし感じることもできない。だから、ちいはもっと塩尻について知る必要があるし、それにはいろんな視点からのいろんな人の感覚が必要で。
今日、一番いろんなものを得たのはもしかしたらちいかもしれない。
こんなにたくさんの、”感じたこと”を1日で得られてしまったのだから。
勝手に潜入しておいて、一番いろんなものをもらってなんてラッキーな1日だったんだろうか。
塩尻を知って、ちいはなにをするのだろう。まだ、わからないけれど、塩尻を褒められて、塩尻のことを考えてもらって、どこと説明できない場所がほくほく嬉しくなった感覚を、どうにかして塩尻の人たちにも感じてもらえないだろうか、なんて思った。
これからもこの怪奇現象の研究は続けつつ、あの"ほくほく"をだれかにも味わってもらえるように、ちいにできることを見つけてみよう。
地元のために何ができるか考えるなんてこと、今まではしてこなかったけど、なんだか今までより楽しく考えていけるような気がしてきたのだった。